ノンネームシートとは?
ノンネームシートとはM&Aにおける売り手企業を匿名(ノンネーム)にし、概要情報を記載した書類のことです。ティザーやティザー・メモランダムと呼ぶこともあります。買い手候補を探すために利用します。
一般的に売り手FAや仲介会社が作成し、これを買い手候補の企業に提示することで買収意向を伺っていきます。
なぜノンネームなのか?
ノンネームシートはFAや仲介会社が多くの買い手候補企業に打診するため、そこからライバル企業や自社従業員に自社が売りに出ているという情報が漏洩してしまうのを防ぐためです。
ノンネームシートには何を記載する?
主な記載事項は以下のとおりです。
- 業界、業種
会社の業界や業種について記載します。 - 事業内容
業界の中でもどういった事業をおこなっているのかを記載します。例えば人材業界の中でエージェント業なのか掲載媒体なのかなど - 地域
会社の特定がされないように都道府県まで記載するのか、関東や北陸などのエリアだけに止めるのか留意が必要です。 - 売上規模
金額のレンジなどでも - 従業員規模
おおよその規模感で十分です。 - 譲渡理由、背景
ここは「後継者不在のため」など一般的な記載で構いません。 - 大まかな株主構成
- 業歴
- 会社の強みなど
- 仲介者の担当情報
実際にノンネームシートの事例をみる
M&Aプラットフォームにノンネームシートと同様の情報が掲載されています。これらの情報自社と同業の会社が何を記載しているのか確認してみると参考になります。
M&Aプラットフォームの例
M&A CLOUD:https://macloud.jp/selling_targets
TRANBI:https://www.tranbi.com/buy/list/
SPEED M&A:https://speed-ma.com/projects
ノンネームシートのサンプル雛形
実際にダミーのノンネームシートを見てみましょう。
ノンネームシート記載事項のポイント
ノンネームシートは売り手のFAや仲介会社が作成するケースがほとんどですが、売り手オーナーも作成のポイントを以下2点押さえておく必要があります。
- 自社の特定がされないこと
- 買い手に魅力を感じてもらえること
自社の特定がされてしまうと、この会社は売りに出ているとして取引先や従業員にネガティブなインパクトを与えてしまう恐れがありますので絶対に避ける必要があります。
また、自社の情報をぼかした上で如何に魅力的なシートにするか?は非常に重要です。なぜなら、買い手企業は日々多くのノンネームシートを見ており、その中で興味を持ってもらえることがM&Aのスタートラインとなるためです。このわずかな情報で買い手候補の目に留まるよう自社のストロングポイントを簡潔に伝えられるかFAや仲介会社としっかり擦り合わせてください。
ノンネームシートの取り扱いについて
複数の仲介会社やFAを経由してノンネームシートが広く出回っている会社がありますが、買い手候補が複数のパイプラインから同じ会社のシートを目にすると「この会社は売り急いでいるな」という目で見られてしまうおそれがあります。
そのため、売り手オーナーさんとしては彼らのシートの取り扱いについて同意なく出回らないようにコントロールをしていく必要があります。
ネームクリアとは
ネームクリアとはノンネームシートを見て興味を持った買い手候補とNDAを締結して社名やその他情報を開示することです。
ここからさらに企業のビジネス内容や財務情報などを提供していくことになります。
まとめ
ノンネームシートは企業情報を匿名とした上で、買い手候補企業を探すために用いる書類のことで、これの記載内容のみで買い手企業の目に止まるよう魅力を伝える必要があり、M&Aのファーストステップとなる非常に重要な書類です。
FAや仲介会社が用意してくれますが、売り手企業のオーナーとしては是非きっちりと目を通して適切な内容となるよう彼らと協議してみてください。