レーマン方式(リーマン方式 / Lehman Formula)とはM&A手数料の代表的な算定方式です。
M&Aの報酬体系は着手金、リテーナーフィー、成功報酬などいくつかの種類がありますが、リーマン方式は成功報酬の代表的算定方法です。成功報酬はM&Aが成立した際に仲介会社などのM&A専門家に支払う手数料のことです。
レーマン方式の由来
日本語ではレーマン方式という呼び方が一般的ですが、英語ではLehman FormulaもしくはLehman Scaleと表記し、この計算式はリーマン・ブラザーズ(Leahman Brothers)が開発した計算手法です。そのため、リーマン方式という呼び方もします。
元々は投資銀行が資金調達をアレンジした際のアレンジメントフィーとして以下の料率テーブルで算定をおこなっていました。
調達金額 | 手数料率 |
100万USD | 5% |
100万USD超-200万USD以下 | 4% |
200万USD超-300万USD以下 | 3% |
300万USD超-400万USD以下 | 2% |
400万USD超 | 1% |
これが現在は日本におけるM&Aの手数料に転用されて普及しております。
レーマン方式の料率
レーマン方式では下表の通り、対象金額が増加するにつれて手数料率が逓減していきます。
取引金額 | 手数料率 |
5億円以下 | 5% |
5億円超-10億円以下 | 4% |
10億円超-50億円以下 | 3% |
50億円超-100億円以下 | 2% |
100億円超 | 1% |
レーマン方式の計算式と早見表
レーマン方式の取引金額ごとの手数料計算の早見表は下図のとおりです。
仲介手数料の計算例
例えば以下の条件でのレーマン方式の計算を行ってみましょう。
- 計算対象:譲渡金額ベース
- 譲渡金額:14億円
①譲渡金額14億円のうち5億円までの部分に5%⇨2,500万円
②5-10億円の部分に4%⇨2,000万円
③10億円を超える4億円に対して3%⇨1,200万円
①+②+③=5,700万円 となります。
レーマン方式の種類
レーマン方式の計算の基礎となる取引金額は業者により異なります。
主にM&A実務で登場するのは以下です。
- 会社(株式)の譲渡金額
実際に会社を売買した金額で、最も一般的な算定方法です。 - 移動総資産額
取引価格ではなく、会社総資産額になります。 - 企業価値
留意点
取引金額の対象は何か?
中間金の有無
仲介会社の中には成功報酬や完全成功報酬と謳いながら、中間金を取る会社があるので注意が必要です。
なぜなら、この中間金は最終的に取引不成立の場合発生してしまうためです。
取引が成立していない場合、売り手は株式譲渡の収入がないため、この手数料の支払いはかなりの負担になります。また、買い手にとっても別の案件に投下できたはずの買収資金、予算が失われてしまいます。